むさしや ブランディングプロジェクト

project infoむさしや ブランディングプロジェクト

  • むさしや

    https://musashiya.buyshop.jp
  • 栃木市に店を構える老舗のうなぎ料理店です。炭火焼きによる香ばしさとふっくらとした身の仕上がりを大切にし、真空パックでもお店の味をそのままお届けできるよう日々工夫を重ねていらっしゃいます。格式張らず、親しみやすい接客と丁寧なお仕事で、地元のお客様に長年愛され続けています。お料理にもお店の佇まいにも、派手さを求めることなく、静かに積み重ねてこられた歴史と伝統が感じられます。

  • Client DATA

    • 地域/栃木県栃木市
    • 業種/飲食業(日本料理・うなぎ専門店)
    • 制作期間/2024年春〜
  • DELIVERED

  • ブランディング, 商品ブランディング, グラフィック, ロゴデザイン(VI、ロゴのみ), 販促物デザイン(チラシ、リーフレット、ポスター), パッケージデザイン, ECサイト, 商品写真

  1. 1. 現状

    むさしやさんは、栃木市で長く愛されてきた老舗のうなぎ料理店です。店舗での飲食はもちろん、真空パックによる持ち帰りや通販対応にも取り組んでおり、丁寧な商品づくりには定評があります。 地域に根差し、品質には自信がある――しかしその魅力が外に向けて十分に伝わっていない、というのが当初の印象でした。 ご相談内容としては、まず「贈答用パッケージを整えたい」というものでしたが、お話を聞く中で「むさしやというお店が、今の時代の中でどんな価値を持ちうるのか」という問いが、私たちの中でも自然に立ち上がってきました。

  2. 2.課題

    課題として大きかったのは、「語られていない価値がたくさんあるのに、それが可視化されていないこと」でした。 たとえば、栃木市にはかつて“うなぎの名所”としての歴史があり、巴波川や地元神社との文化的なつながりも存在していました。 しかし、それらが商品やブランドとして表現されておらず、むさしやさんの個性が他店と差別化されていない状況でした。 また、観光やEC、贈答といった複数の販路に対して、「どんな商品を、誰に向けて、どんなストーリーで届けるか」といった戦略設計もされておらず、結果的にせっかくの魅力が埋もれてしまっていたのです。

  3. 3.解決

    課題の本質が「むさしやという存在をどう再定義するか」にあると捉え、私たちは単なるパッケージ刷新ではなく、店舗のあり方や商品の届け方まで含めた、包括的なブランディングの提案を行いました。 具体的には、「地域に根づく文化性を活かしながら、贈答品というかたちでその価値を伝えていく」という方向性を軸に据え、ブランドの再設計を図る内容です。 パッケージやロゴといった個別のデザイン要素も、それらを構成するひとつの手段として捉え、むさしやが地域にとってどんな存在であるべきか、そして贈る人・受け取る人にとってどんな体験になるべきかという視点から、提案を組み立てていきました。 「文化を届ける贈答品」というコンセプトの体現にあたっては、星宮神社と連携した御朱印付きパッケージの企画も展開し、文化的背景を商品体験の中に織り込むことを試みています。 このプロジェクトにおいて私たちが目指したのは、見た目のデザインに留まらず、商品設計や販促戦略を含めたブランド全体でその価値を伝えるという提案でした。

【ロゴ・シンボルマーク】

老舗の信頼と品格を伝える、店舗の“顔”としてのロゴ設計

本プロジェクトでは、ブランドの核となるメインロゴと、象徴的なシンボルマークの2つを制作しました。

それぞれに異なる役割を持たせながら、共通の世界観のもとで統一感のあるビジュアル展開を目指しています。

 

メインロゴは、老舗の格式と信頼感、そして贈答品としての“特別な一品”であることを端的に伝えるため、筆文字を採用しました。「小京都」とも呼ばれる栃木市の雰囲気に合わせ、江戸的な力強さよりも、京都的な繊細さや“余白の美”を意識。伝統を守りながらも、現代の暮らしや感覚に自然となじむ、やわらかな佇まいを目指しました。

 

シンボルマークは、うなぎが泳ぐ「巴波川(うずまがわ)」の流れをモチーフに、家紋を思わせる構成でデザイン。和の伝統をベースにしつつ、少し抽象的な表現を加えることで、昔ながらの奥ゆかしさと今らしさの両立を意識しています。

 

メインロゴとシンボルマークは、シーンに応じて柔軟に使い分けられるよう作成しています。スペースが限られる場面では、シンボルと店舗名・ブランド名がわかるタグラインを組み合わせて、シンプルに展開できるよう設計。伝える内容や場面に合わせて柔軟に使えるよう、実用性と美しさを兼ね備えた構成としています。

【パッケージ】

地域の記憶と縁起を込めた、贈答用パッケージと御朱印企画

パッケージの基調色には伝統色の「浅葱色」を取り入れ、老舗らしさと爽やかさがほどよく調和する印象に。

関東圏の嗜好にあわせて、控えめで上品な佇まいを意識しました。山・川・神社などの栃木らしいモチーフをあしらい、地域の風景をやさしく包むようなデザインに仕上げています。

 

さらに、かつて“うなぎを神聖なもの”として祀っていた星宮神社と連携し、「開運うなぎ蒲焼」という商品名にちなむ限定御朱印を季節ごとに同封。縁起物としての物語や地域文化への敬意が、贈る方にも受け取る方にもそっと伝わることを願っています。

【リーフレット・販促チラシ】

顧客・流通それぞれに最適化した、伝え方の設計

顧客向けには「贈答用うなぎ」の魅力を上品に伝える”リーフレット”を、バイヤー向けにはひと目で伝わる”販促チラシ”を制作しました。前者では「縁起物としての価値」を丁寧に紹介し、後者では「老舗・炭火焼・蒲焼」といったキーワードでわかりやすく訴求。目的ごとに表現のバランスを調整することで、より広い層への展開がを意識しています。

文化が味になる。老舗のリブランディングは、まちの物語を継ぐこと。

むさしやさんのリブランディングは、「美味しい」や「老舗らしい」といった枠を超えて、「このまちの文化をどう未来に渡すか」という問いを共有するプロジェクトでした。単なる商品開発ではなく、贈り物としての記憶や体験までを設計する。それが、このプロジェクトで一番大切にしたかったことです。

その他の事例紹介

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