Design
宇都宮駅ビルパセオ店は、観光入込客数1500万人を超える宇都宮市の玄関口。観光客に向けて栃木の名産品をPRする意味でも、いざわ苺園が駅ビルに出店する意味は大きいと考えられます。
駅ビルは毎日8万人の宇都宮市民が日常の交通プラットフォームとして利用しており、地元の学校帰りの学生や買い物客の休憩の場としての利用と合わせ、週末に都市部から集まる観光客による利用を促すため、駅ビル内でも強く目立つファサードを計画する必要がありました。
FRONT DESIGNからの提案は、駅の中に突如出現したいちごハウス。全国チェーンのテナント店舗が立ち並ぶ中に、突然畑の中のビニールハウスが現れることで意外性と面白さを演出し、栃木らしさをデザインできるのではないかと考えました。
建築部材は単管パイプのビニールハウス用建材やパレット材など、畑で使われる無骨な農業資材をそのまま使用し、さらに床や立ち上がりの腰壁は畑の土を感じさせる素材で仕上げています。区画の中央にあるどうしても動かすことのできない大きなコンクリート柱は、春のいちご畑をイメージしたドローイングを描くことで、無骨な構築物の中にポップなアイキャッチとなっています。ビルの中から突然畑に迷い込んだかのような不思議な空間が生まれました。
区画の寸法がミリ単位で厳密に管理される駅ビル内のテナントにおいて、畑でラフに組み立てられるビニールハウスを計画することは困難を極めましたが、消防の許可も下り、ようやく実現させることができました。
計画通り、平日は地元客で、週末は観光客で連日賑わう新しいスポットとなっています。